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木造福祉施設 Wood Frame Construction Social Welfare Facilities

老人介護福祉施設フラワーサーチ

■土本 満理子さん(有料老人ホームラヴィアンマネージャー)

老人介護福祉施設フラワーサーチ 写真2-1

「2階3階からの空の風景もいいと思うんですけど、ここはすぐに草木が見られて心が和む気がします。ドアを開けて一歩外に出ると土があるというのは、すごく安心感がありますね。」と土本さん。

「ふるさとに帰った香りがする」と言われたことがあります。

2006年からフラワーサーチに勤める土本さんは、看護師の資格をもつ、ショートステイ部門の業務上はもちろん、精神的な支柱でもあります。長い病院勤めから、フラワーサーチに移ってきて、土本さんは、まずこう感じたと言います。

「鉄筋コンクリート造りの病院でずっと働いていましたので、こちらに来たとき、不思議な空間ですごく気分がよかったというのが第一印象なんです。柔らかい感じで、いい建物だなというところから私はスタートしています。」

印象としての良さをすぐに感じた土本さんは、働くうちに、実務的なメリットも発見できたようです。

「建物の構造が、お客様を一面に見られるようになっているので、お客様の安全を守りやすいんです。他の施設を見学したとき、スペースの中に死角があって、あそこだとお客様が転倒しても見えないなとか、そういうところをたくさん見てきていたので、ここに戻ってくると、やっぱりうちがいいなと本当にそう思いますね。」

建物としての良さは、土本さんご自身だけでなく、お客様やそのご家族も感じているとのこと。実際に、こんな声を聞いたと土本さんは教えてくれました。

「認知症のあるお客様とそのご家族が見えたとき、ほとんどの方から“ここはホテル?”という言葉が聞かれます。ケアマネジャーの方も“ここは施設臭がしない”と言ってくれます。それから、“ふるさとに帰った香りがする”と言っていただいたこともあります。どこのショートステイも使うのがイヤで、でもここだったらどうだろうと見えた方が、うちのショートステイに入られるとすぐにそうおっしゃったんですよ。私も社長にもよく言うんですけど、本当にここは不思議ですよねと。あとは、壁と床が柔らかいから、倒れてもそうひどいことにはならないねとおっしゃるご家族の方もいらっしゃいます。確かに、大きく倒れても大事故にはなったことはないです。」

そして、お客様の安全を守るには最高、と土本さんが特に評価するのは、平屋造りであること。

「2階や3階の建物になりますと、階段で足を上げることでの転倒もありますし、お客様が私たちの視界から見えなくなるわけです。ここでは、そういうことは絶対にありません。ほとんどのお客様がどこで何をしているか確認できるので、私たちからすると働きやすい職場ですし、お客様からすると生活しやすい場所になっていると思います。」

■Aさん

老人介護福祉施設フラワーサーチ 写真2-2

ラウンドした食堂は、まるでオーベルジュ。空間も食事のおいしさを引き立てる。広さの割に室内の柱は気にならない作りになっているので、スタッフが入居者の方をつねに視認できる。

おっかさんは安心しているんじゃないかな。3日と空けずに来ますから。

今年の4月に入所したばかりのAさんは、長く国産材を使った木造家屋にお住まいだったため、まだ外材の建物の住み心地には慣れていないとおっしゃりながら「鉄筋のような冷たさは感じません」と木造ならではの温かみは実感されている様子。「おっかさん」と呼ぶ奥様もよく面会に来てくれるとうれしそう。

「おっかさんは、よく来てくれて掃除をしてくれます。実際に口にはしないけど、きれいなところだとは思っているでしょうね。私がごはんを食べているとき、一緒に食べるかと聞くと、恥ずかしいせいか断るけど、私が体操をやっているときは、一緒にやるかと言わんでも、後ろで体操の真似事みたいのをやっているわね。こういう施設に私が入って安心しているという気持ちはもっとりますよ。3日空けずに来ますからね。だいたい、朝9時頃来て、お昼前に帰って行くくらいです。お友だちがついてきて、私の部屋に3人でいることもあるんですけど、結構、広くていい感じをもっているんじゃないですか」。

ご本人はもちろん、ご家族に安心して満足いただけることも施設の大切な要素。Aさんのところは、まったく心配ないようです。

COLUMN | お客様目線で考えると、木造平屋しか選択肢はありませんでした。

老人介護福祉施設フラワーサーチ 写真2-3

有限会社スピリットネイチャー 代表取締役 元吉 伸幸さん

フラワーサーチの建物を建てるとき、次のようなことを考えました。お客様が要介護状態である高齢者様なので、ひとつは、地に足のついた生活をしていただける建物であること。そして、建てる地域も、このような田舎でありますので、そこの風土や風景に合った形であること。自分の思い描く建物やフラワーサーチのあり方を、抽象的にですが、私はこういう形の生きがいを望めるような高齢者様のホームにしたいんだと設計会社さんにお伝えしたんです。そのうえでアドバイスをいただいたところ、コストパフォーマンスもございますし、木造で、せっかくなら平屋で作ってということになりました。平屋が一番適した形だったんですね。

今年の4月に開所したラヴィアンという有料老人ホームも、これはもう平屋でやるべきだと決めていました。フラワーサーチを開設して5年間の私どもの経験の中で、あらためてお客様目線から何が今必要であるかと考えたとき、医療依存度の高い要介護高齢者の方々が、生きがいを持って住むことができるホームを作りたかったんです。お散歩に行かれたりとか、日々自然と触れ合うような環境となりますと、どうしても木造平屋でしか考えようがないなと。できた建物には、やはり木造ならではの良さがありますね。ツーバイフォーで作れたので、非常に温かみがある。あとは思った以上に気密性が高いですね。

お客様の状況が、有事のときでも判断しやすかった。お客様が、お部屋でもし転倒されても、物音ひとつでどういう状況かスタッフ自身が判断できるというところは、ツーバイフォー工法のメリットだと考えてます。それと、広々とした空間。広い空間というのは、あくまでもお客様目線で考えますと、ゆとりある生活につながるんです。こういう広い空間で仕事をさせていただくことは、スタッフにとっても心にゆとりがもてると思います。

老人介護福祉施設フラワーサーチ/フラワーサーチラヴィアン

老人介護福祉施設フラワーサーチ 写真2-4
  • フラワーサーチ/グループホーム(定員18名)、ショートステイ(定員20名)、デイサービス(定員30名)ラヴィアン/有料老人ホーム(定員30名)
  • 建築場所/愛知県豊橋市東高田町670
  • 敷地面積/5,633m2
  • 建築面積/2,811.91m2(フラワーサーチ/1,555.21m2、ラヴィアン/1,256.70m2)
  • 延床面積/2,776.70m2(フラワーサーチ/1,499.73m2、ラヴィアン/1,231.08m2、渡廊下など/44.89m2)
  • 構造/平屋建て枠組壁工法(木造準耐火構造)(両施設とも)
  • 設計監理/(株)ニコム
  • 施工会社/(株)東海ビルド(フラワーサーチ)、(株)杉本組(ラヴィアン)
  • 設計期間/2004年5月~2004年7月(フラワーサーチ)、2009年6月~2009年8月(ラヴィアン)
  • 施工期間/2004年9月~2005年1月(フラワーサーチ)、2009年10月~2010年2月(ラヴィアン)