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木造福祉施設 Wood Frame Construction Social Welfare Facilities

社会福祉法人 洗心会総合ケアセンターナーシングホーム はるかせ

■板井 奈央さん(ケアスタッフ)

社会福祉法人 洗心会総合ケアセンターナーシングホーム はるかせ 写真3-1

鉄筋だったらおそらく骨折してた...

建物の第一印象を“旅館みたい”に思ったと板井さん。彼女自身がこれまで鉄筋コンクリートの建物で暮らした経験がほとんどなく、人の居住空間は木造が基本、という感覚をおもちです。

「やはり高齢者施設もだんぜん木造がいいと私は思いますよ。まず第一にいざ転倒したときのケガを最小限に軽減させてくれますから。私がはるかぜに勤務してからのこの3カ月間に、鉄筋だったらおそらく骨折していたにちがいない転倒事例がありました。

ところが、この建物の床ではあざだけで済んだんです。打ち身にもならなくてちょっと驚きでした。木って、“柔らかい”イメージ以上に素材として“軟らかい”んですね。それに夏は涼しく、冬は暖かく、エアコンに頼らなくていいんです。やっぱり木は落ち着きます。」

転倒が大事に至らなくて本当によかった、と板井さん。ホームが家庭のような環境になった分、自分も家族のようにかゆいところに手がとどくケアをしていきたいと締めくくりました。

■池田 妙子さん(ケアスタッフ)

社会福祉法人 洗心会総合ケアセンターナーシングホーム はるかせ 写真3-2

あ、陽ざしの反射かしら!

「ここで働いて何気なく1年過ぎたけど、仕事からくる足腰の痛みは感じなくなりましたね。以前の鉄筋の建物のときはいつも足が疲れるから、いちばんはきやすい自分のシューズでやっていたんですが、今では普通のナースシューズでも疲れません。

夜勤のときは素足で歩くこともありますが、床がクッションになっているのがあらためてわかりますね。」

“木造建築物”と聞いて池田さんがまず連想するのは、太い柱のあるような“古い民家”なのだそうです。

「でもここの施設は柱や梁じゃなく、面を組み合わせて積み重ねて造られているんですよね?柔らかいんだけど面で囲まれてガッチリしてる感じを受けとめてます。あと鉄筋とちがうのは...あ、陽ざしの反射かしら!

建物の外も中も“陽の光が反射した光”の感じが、なんだかやさしくて温かみがあるんです。」

光の反射の微妙なちがいを感じる池田さんの繊細な感性、脱帽です。木が光におよぼす作用......人の五感の他に機械などで証明できるものなのでしょうか。

社会福祉法人 洗心会総合ケアセンターナーシングホーム はるかせ 写真3-3

各居室には“色”にテーマをもたせ、ユニットごとに「ここがわが家」とわかる造りが図られている。カーテンの色も設計段階からコーディネイト。視覚にうったえる演出がすみずみに凝らされている。

COLUMN |“和”が“輪”につながる...実に体感できますね、本当に。

社会福祉法人 洗心会総合ケアセンターナーシングホーム はるかせ 写真3-4

社会福祉法人 洗心会 総合ケアセンター はるかぜ
ナーシングホーム 施設長 帆足 道応さん

実は私の叔父が材木商をやっていることもあって、個人的にも木は呼吸をする生きている素材で温度や湿度を調節してくれ、高齢者にはやさしく最適だとは思っていたんです。2004年に耐火基準に公的な認可が下りて(※参照)、木造のデメリットとされてきた耐火や耐熱、耐震についての懸念がクリアできたから『今度の増築は木造にしよう!』と踏み切れたんですね。現実のものとなって本当によかったです。開所してまる1年。私がまず気づいたのは、家族の方々が面会に来られる回数が増え、滞在時間が長くなったということなんです。以前は面会に来なかった方々もお見えになるようになりました。

つまり、家族と入居者、そして職員の間のコミュニケーションが以前にも増して密になったということです。これは間違いなく木のやさしい空気感による効用でしょう。RCの建物に比べ、このはるかぜにはいい意味で生活感が満ちています。......声や音の響き方、吹き抜ける風......すべてにぬくもりがあるんです。職員がまず影響を受けていると思いますよ。仕事ぶりが変わってきた。ご家族の意見を前にもまして素直に聞き入れるようになってきたと思うし、ベテランと若手のスタッフ間の関わり方にしても、隔たりがなくなった感じがします。

『あの人(入居者)の趣味のネタを仕入れたから、ゆっくり話しをしてみよう』とか、『今日はあの人の家族が来るから○○する用意をしておこう』とか、気持ちに余裕ができて、能動的な対応が目立つようになりましたね。介護施設というのは、やっぱり働く人が明るくて自然と笑顔が生まれるような環境じゃないといけません。認知症の方でも相手の表情はちゃんと読み取りますからね。

ご覧の通りはるかぜは内装とインテリアを和のテイストでまとめています。構造だけでなく見た目にも木目や珪藻土をあしらい、落ち着きや和みが感じられるようにしています。これも心理面にはたらきかけてきますね。

昔から木をうまく使い自然の力を採り入れてきた日本人のセンス・技というのは本当にスゴいと思います。実際に“和”を感じさせる空間ほど人の“輪”ができているのですから、五感で感じるということは明らかにありますね。私もはるかぜで過ごしていてあらためて気づかされました。

(※参照)カナダ林産業審議会(COFI)と日本ツーバイフォー建築協会の協同により、ツーバイフォー工法の主要構造部すべてにおいて、耐火構造としての国土交通省大臣認定を2004年4月に修得。木材を強化せっこうボードやアルミニウム箔で耐火被覆することにより、木造建築物が耐火構造として日本で初めて認められた画期的な基準です。これにより、木造ツーバイフォー建築物に対する階数や面積並びに用途上の規制が大幅に緩和され、防火地域でのツーバイフォー住宅(100超)や4階建ての共同住宅、さらには商業施設、ホテル等の建設が可能になりました。

社会福祉法人 洗心会総合ケアセンターナーシングホーム はるかせ

社会福祉法人 洗心会総合ケアセンターナーシングホーム はるかせ 写真3-5
  • 特別養護老人ホーム(定員50名)
  • 建築場所/大分県別府市鶴見町8組の5
  • 敷地面積/1728.00m2(523.63坪)
  • 建築面積/664.4m2
  • 延床面積/2094.57m2(1・2・3階各/649.54m2、4階/145.93m2)
  • 構造/A・C棟(両端/枠組壁工法(木造耐火構造)、B棟(中央部)・3階・ロフト/RC造
  • 設計監理/(有)吉高綜合設計コンサルタント
  • 施工会社/森田建設(株)
  • 設計期間/2008年4月~2008年8月
  • 施工期間/2008年10月~2009年5月