社会福祉法人 洗心会 総合ケアセンター はるかぜ
ナーシングホーム 施設長 帆足 道応さん
実は私の叔父が材木商をやっていることもあって、個人的にも木は呼吸をする生きている素材で温度や湿度を調節してくれ、高齢者にはやさしく最適だとは思っていたんです。2004年に耐火基準に公的な認可が下りて(※参照)、木造のデメリットとされてきた耐火や耐熱、耐震についての懸念がクリアできたから『今度の増築は木造にしよう!』と踏み切れたんですね。現実のものとなって本当によかったです。開所してまる1年。私がまず気づいたのは、家族の方々が面会に来られる回数が増え、滞在時間が長くなったということなんです。以前は面会に来なかった方々もお見えになるようになりました。
つまり、家族と入居者、そして職員の間のコミュニケーションが以前にも増して密になったということです。これは間違いなく木のやさしい空気感による効用でしょう。RCの建物に比べ、このはるかぜにはいい意味で生活感が満ちています。......声や音の響き方、吹き抜ける風......すべてにぬくもりがあるんです。職員がまず影響を受けていると思いますよ。仕事ぶりが変わってきた。ご家族の意見を前にもまして素直に聞き入れるようになってきたと思うし、ベテランと若手のスタッフ間の関わり方にしても、隔たりがなくなった感じがします。
『あの人(入居者)の趣味のネタを仕入れたから、ゆっくり話しをしてみよう』とか、『今日はあの人の家族が来るから○○する用意をしておこう』とか、気持ちに余裕ができて、能動的な対応が目立つようになりましたね。介護施設というのは、やっぱり働く人が明るくて自然と笑顔が生まれるような環境じゃないといけません。認知症の方でも相手の表情はちゃんと読み取りますからね。
ご覧の通りはるかぜは内装とインテリアを和のテイストでまとめています。構造だけでなく見た目にも木目や珪藻土をあしらい、落ち着きや和みが感じられるようにしています。これも心理面にはたらきかけてきますね。
昔から木をうまく使い自然の力を採り入れてきた日本人のセンス・技というのは本当にスゴいと思います。実際に“和”を感じさせる空間ほど人の“輪”ができているのですから、五感で感じるということは明らかにありますね。私もはるかぜで過ごしていてあらためて気づかされました。
(※参照)カナダ林産業審議会(COFI)と日本ツーバイフォー建築協会の協同により、ツーバイフォー工法の主要構造部すべてにおいて、耐火構造としての国土交通省大臣認定を2004年4月に修得。木材を強化せっこうボードやアルミニウム箔で耐火被覆することにより、木造建築物が耐火構造として日本で初めて認められた画期的な基準です。これにより、木造ツーバイフォー建築物に対する階数や面積並びに用途上の規制が大幅に緩和され、防火地域でのツーバイフォー住宅(100超)や4階建ての共同住宅、さらには商業施設、ホテル等の建設が可能になりました。