カナダ林産業審議会 www.cofi.or.jp カナダ林産業審議会 - 構造材 : 製材










































木材の強度と比重

木材は一般的に比重が高いほど機械的性質(圧縮強さ、引張り強さ、曲げ強さ、せん断強さなど)が高いことが知られています*1。「E 120 カナディアンヘム・ファー」として供給されるカナダBC州太平洋岸に生育するこの樹種は、北米ではHem-Firとは区別されたHem-Fir(N)という樹種群として取り扱われていますが、これは同一樹種ではありながらも強度特性の相違を明確に区分していることを示しています。「E 120 カナディアンヘム・ファー」の製材品は、べいつがに比べて比重も高く、日本市場において堅牢な住宅を建築するうえで欠かせない材料といえます。
*1:北原覺一『木材物理』森北出版株式会社(1981年)

釘の許容せん断耐力

建物の強度に大きく作用するのが接合部の仕様で、特に柱と梁で構造体を構成する木造軸組住宅では、接合強度が住宅の強度に大きく影響してきます。 (財)日本住宅・木材技術センターが認定したZマーク金物は、接合耐力が表で示されており、荷重継続時間により調整した上で使用することができます。この許容耐力は釘の樹種グループ(べいまつ類、べいつが類、すぎ類)に対する日本建築学会の木質構造設計規準に示された許容せん断耐力を基に計算されていて、これらのデータによっても比重が大きく影響していることがわかります。

木材の気乾比重
樹 種 気乾比重
平均値 下限値
べいひ、べいつが、ひば、ひのき、もみ 0.44 0.37
とどまつ、えぞまつ、べにまつ、スプルース、
すぎ、べいすぎ
0.38 0.32
E120 カナディアンヘム・ファー 0.45 0.38

注:上段の2樹種グループは、日本建築学会「木質構造設計規準・同解説」より引用。
下段のE 120 カナディアン ヘム・ファーは、カナダでの実験値。


木造住宅用接合金物(Zマーク表示金物)短期許容耐力値表
記 号 短期許容耐力(単位:k N 、カッコ内はkg f ) 備 考
べいまつ類 べいつが類 すぎ類
ZN40 0.86
(88 )
0.77
(79 )
0.68
(69 )
長期許容せん断耐力に対する値は表値の1/2 とする。数値は鋼板添え板の場合の25%割増による数値。
ZN65 0.86
(88 )
0.77
(79 )
0.68
(69 )
ZN90 1.26
(128 )
1.14
(116 )
0.98



樹種を問わず避けられない寸法変化

木材は、材中の水分量(含水率)に応じて寸法が変化します。木材に含まれる水分のうち、木材を形成する細胞の壁に存在するものを結合水といい、それ以外を自由水といいます。伐採直後の木材には自由水が多く含まれ、木材の乾燥に伴い、まず自由水が減少。含水率が28%程度(繊維飽和点といいます)になると、自由水が無くなり以後は結合水が減っていきます。自由水の量が変化しても木材の寸法はほとんど変わりませんが、結合水が変化すると木材が収縮・膨張します。つまり繊維飽和点を下回ると水分量の変化による収縮が始まるのです。ただし、木材の収縮は使用されている環境の相対湿度とバランスが取れた含水率(これを平衡含水率といいます)までの範囲に限られます。日本では季節や地域にもよりますが、平均して15%程度が平衡含水率と思われます。つまり木材は繊維飽和点28%程度から平衡含水率15%程度の範囲で、含水率変化に応じて寸法変化を生じるといえます。

乾燥材は狂いが少ない

乾燥材を使用することは、建物の狂いの減少に効果があるといわれていますが、これはどうしてでしょうか。木材が乾燥していないと、繊維飽和点をはるかに上回る含水率から平衡含水率に至る範囲で含水率の変化が生じ、それによって寸法変化が生じます。一方、乾燥材はあらかじめ19%以下に含水率がコントロールされているため、平衡含水率に至るまでの変化の量が少ないことが、寸法変化を少なくしている一因となっています。

もうひとつの乾燥材のメリット

木材を人工乾燥させる工程は、使用前の材料が潜在的にもつ曲がり、反り、あてなどの欠点を形状に現わす機会となり、それらの欠点が現われたものは、乾燥後の品質チェックにより選別除外されます。つまり乾燥材は製材時と乾燥時で2度の検査を受けているため、部材として使用されたときに安定性がより発揮できるわけです。




木造住宅に求められる耐久性

品確法に基づく住宅性能表示制度のための評価方法基準では、概ね50年から60年の耐久性を備えた住宅を「等級2」と評価しています。これに呼応するように住宅金融公庫の技術基準も見直され、平成14年度融資申し込み分から、すべての木造住宅に「償還期間35年」が適用されることに伴い、性能表示制度の等級 2と同等の劣化軽減措置が求められることになっています。

高性能を発揮しやすい建築材料

住宅の耐久性を確保するために、JASの耐久性区分「D1」に該当する樹種を用いるか、薬剤による防腐・防蟻措置や通気工法による対策などが基準として定められています。べいつがはD1に該当していませんが、他の樹種と比較して薬剤処理が容易なため、性能表示制度や公庫融資が要求する性能を発揮しやすい材料といえます。住宅を劣化から守るためには、D1に該当する樹種さえ用いていれば安心というわけではなく、雨水・結露などの水分から木材を守ることや、木材が一度吸収した水分をすみやかに放散させるなどの工法上の工夫のほうがむしろ重要です。「E 120 カナディアン ヘム・ファー」 は正しい施工とともに用いることにより、良質な住宅ストックが望まれるこれからの時代の要請にマッチした建築材料といえます。