木造建築のメリット

住んでみたい住宅の筆頭にあげられる木造建築。この木造建築は、断熱性に優れ、経済性にも秀でており、快適な室内空間を提供するといった住む人に優しい住宅となっていますが、それだけではなく、地球温暖化の危機が叫ばれている中で、環境にも優しい住宅工法です。
 
カナダでは科学的な実証試験やシュミレーションモデルを使って、木造住宅がスチールや鉄筋コンクリート造と比較して、どのような点で、どのくらい優れているか、の研究を重ねてきました。その結果、以下のようなことが明らかになりました。
 
 

木製のたて枠を使用した耐力壁の断熱性能は、たて枠にスチールを使用した場合の耐力壁に発泡樹脂製で厚さ51㍉の断熱材を外側施工した場合に匹敵

木材が自然素材で、木質化した細胞壁間に空気層を持っているという特性から、熱伝導率が低いのに対して、熱伝導率の高いスチールでは、スチールのスタッド部分が熱の逃げ道になってしまうからです。これを防ぐためには、外壁側に壁厚に相当するような断熱層を施工しなければならないことになります。木材が素材として有する特性が木造建築では、住宅の断熱性という観点で、非常に有効かつ効果的に発揮されているといえます。
 

木造住宅(2階建)はスチール造に比べて建築コストを5.8%セーブ

同じ住宅を木造とスチール造で建築した場合の住宅コストの比較も行われました。材料費、工事費、設備費等を全て同一プランに基づいて積算し、かつ実際に建築して、その経済性についても検討を重ねました。この結果は、最も一般的な2階建住宅では、木造がスチール造に比べ5.8%のコスト・ダウンを実現し、タウンハウスでも2.8%の優位性を発揮しました。通常規模の住宅では木造がコストメリットも十分に発揮できる工法であることが証明されたといえます。
 

木造は環境負荷の最も少ない工法

カナダで実施されたアシーナプロジェクトはシュミレーション・モデルで地球環境への影響を定量的に分析するものです。これによると総合的なエネルギー使用量は木造を1とするとスチール造が1.5、鉄筋コンクリート造が2.2となり、木造が一番エネルギー消費量の少ない工法であることが明らかになりました。エネルギー消費が少ないことは温室効果ガスの発生を抑えることにもつながり、木造建築は環境負荷が少ない住宅といえます。