木造軸組工法向けのミッドプライウォール(MPW)システム 1. はじめに 枠組壁工法用として開発を進めてきたMPW 耐力壁ですが、水平力に対する耐力発現機構は軸組工法に用いても同じであるため、軸組工法用のMPW 耐力壁を開発しました。軸組工法に用いる場合には枠組壁工法に用いる場合とは異なり、耐力壁は鉛直荷重を負担することなく水平抵抗要素としての機能に特化することになります。構造機能が単純になることによって構造設計上の扱いが簡便になる他にも、以下のような利点があります。 ・MPW 耐力壁が真壁的に納まるため、内装下地せっこうボード等の施工が容易(筋かい耐力壁のように軸組フレームに直接下地材の取り付けが可能) ・... 続きを読む
ミッドプライ・ウォール・システム Midply Wall System(以下MPW)は1998年カナダ・ブリテイティッシュコロンビア州バンクーバーのフォリンテック(Forintek Corp. 前身はカナダ国立林産試験場。現在はFPInnovationsとして改組)とブリティッシュコロンビア大学によって考案された木質構造の高耐力壁です。FPInnovationsが知的所有権を保持したまま「Open Design」*という概念で技術を公開しています。一般的な材料のみを使って組み立てられるにもかかわらず優れた水平耐力性能を発揮できるため、4層以上の中層木造建築物に不可欠な水平耐力要素です。2018年には、... 続きを読む
クロス・ラミネイテッド・ランバー Cross Laminated Timber(CLT) 構造躯体にCLT を使った個人邸の例(カナダ) クロス・ラミネイティド・ティンバー(CLT: Cross Laminated Timber)はヨーロッパで生まれた新しい建築材料で、カナダでも大型の木造公共建築物に採用されるようになりました。CLTはこの図のように挽き板が直交するように積層接着されたパネル状の構造要素で厚さ40mm程度~500mm程度、大型のパネルは3m×12m程度のサイズのものがカナダでは流通しています。CLTはまず、組積造のように稠密な躯体に囲まれた住空間に慣れ親しんだヨーロッパの人々に抵抗無く受け入れられました。... 続きを読む